変形性膝関節症の炎症を抑えて痛みを緩和し、そして、関節の動きを滑らかにする為に、膝にヒアルロン酸注射が行われますが、これらの効果が続かない事と、症状が進行すると痛みをコントロールできなくなるので、運動療法が行われます。
運動療法をする事で、変形性膝関節症の原因になっている膝関節周囲の“筋力低下”や“筋力の不均衡”を改善し、膝の動きを安定化させて、症状の進行と痛みを抑える効果がありますが、難点として、辛抱強く運動を続ける事や、膝の筋力回復まで痛みが続く事、そして、運動効果が実感されないと意欲が低下してしまう事、などがあります。
このような難点の解消に、昔から、疲労や緊張などの慢性化による症状を改善しているマッサージ治療を利用すると、筋肉のコワバリと血流の改善を行い、更に、関節を動かして関節内の新陳代謝を高める運動法も行うので、敏感になっている神経を和らげ、そして、膝関節の回復を早める効果があります。
【 ヒアルロン酸の効果と難点 】
~ ヒアルロン酸の注入効果 ~
変形性膝関節症の初期や中期の頃までは、膝の痛みを和らげながら、膝関節の安定を回復させ、関節症の進行を抑える治療法になるので、膝にヒアルロン酸を注入しながら運動療法を行うのが一般的です。
膝の関節内にヒアルロン酸を注入する事で、膝の傷付いた軟骨表面をヒアルロン酸が覆って、膝関節内の腫れや炎症を抑え、そして関節軟骨の滑りを良くするので、動作時の膝の痛みを無くし、膝関節をスムーズに動かせるようになります。
しかも、膝に注射するだけなので、短時間に、比較的簡単に治療が済ませられ、その上、ヒアルロン酸による副作用の心配がほとんど無いので、安心してヒアルロン酸を注入できます。
~ 効果が持続しない為に ~
しかし、ヒアルロン酸を膝に注入しても、すり減って傷んだ軟骨を再生させたり、膝の弱っている筋肉を強化したりする働きがありません。
しかも、注入されたヒアルロン酸は、時間の経過と共に体内に吸収されて無くなってしまうので、膝の痛みを緩和する効果は1〜2週間程度なので、いつまでも続きません。
この為、膝の痛みが再発してきたり、膝のコワバリが強まって動きづらくなったりすると、再び、膝にヒアルロン酸注射を注入する事が必要になります。
~ 繰り返すと ~
更に、もっと注意しなければいけない事は、「ヒアルロン酸による効果は、膝の軟骨の損傷が治っていなくても、痛みだけ感じにくい状態」になるので、ヒアルロン酸注射に頼っていると、動作をするたびに、膝の軟骨がすり減ったり傷んだりするので、更に変形性膝関節症が進んでしまう事です。
そして、膝関節の軟骨の摩耗や変形が大きくなってくると、膝にヒアルロン酸注射を注入しても、膝関節内の腫れや炎症を抑えられなくなったり、関節軟骨の滑りを改善できなくなったりして、痛みが解消されなくなります。
また、ヒアルロン酸注射で痛みをコントロールできなくなると、炎症が進んで、神経が敏感になってくるので、動かずにジッとしていても、膝から痛みがしてくる状態になります。
【 運動療法 】
~ 運動療法の効果 ~
この為、膝関節の動きを安定させて、膝の痛みを緩和し、膝の軟骨を更に悪化させないように、膝周囲の筋力を回復させる運動療法が行われます。
これは、膝周囲の筋肉が、立ったり歩いたりする時などに、膝関節を動かす役割をするだけでなく、関節への負荷や衝撃を和らげるクッション役の役割もしているので、運動療法で膝周囲の筋肉の柔軟性と筋力を回復させると、立ち上がりや歩き始めなどの痛みや、歩いている時の痛みなどを、大幅に和らげられるからです。
また、変形性膝関節症について、「膝関節のクッションである軟骨が、加齢や筋肉量の低下などで、すり減って、痛みが生じる病気」として知られていますが、もともとの原因は、“膝周辺の筋力低下”によって膝関節が不安定になり、軟骨のすり減りを引き起こしているので、運動療法で膝周囲の筋肉の柔軟性と筋力を回復させる事で、変形性膝関節症の進行を抑える事ができます。
~ 早い段階で運動療法を ~
運動療法の、このような効果から、変形性膝関節症の症状の軽減や進行を抑える為に、体調や症状に合わせて、プールでの浮力を利用した歩行運動や、ゆっくりとした自転車こぎ、仰向けになって脚を挙げて伸ばすなどの運動を、計画的に、繰り返して行う事が勧められています。
特に、変形性膝関節症の初期の、「起床時の第一歩に違和感がある」、「動く時だけ痛む」などの段階ならば、運動療法と日常生活上の注意だけでも、膝の痛みが無くなり、今まで通りに歩く事ができるようになります。
弱っている膝周囲の筋力を取り戻したり、不均衡になっている筋力を整えたりすると、それによって膝関節が安定するからです。
~ 関節内の新陳代謝の効果も ~
しかも、運動療法で関節を動かす事で、傷んだ軟骨が、部分的に補修される効果もあります。
膝周囲の筋肉が動かされると、栄養や酸素を含んだ水分が関節内に浸透したり、膝に溜まった老廃物や疲労物質が関節内の水分と共に押し出されたりするので、関節内の新陳代謝(細胞の生まれ変わり)が生じるからです。
この為、変形性膝関節症の初期のうちに、膝周囲の筋肉の筋力を取り戻すと、傷んだ軟骨の補修作用もあるので、膝の痛みが無くなり、歩けるようになったり、初期以降の段階でも、運動療法を行って、膝周囲の筋力を回復させるようにすると、腫れや炎症が治まって、変形性膝関節症が気にならない状態になったり、症状の進行を抑える事が可能になったりします。
【 運動療法の注意点 】
~ 運動療法の難点 ~
ところが、運動療法には、難点があります。
運動療法は、数か月以上、運動を継続する事が必要になるので、時間のやりくりが難しくなって予定通りできなくなったり、中断する事が多くなったり、我慢強く続ける事ができなかったりすると、なかなか効果が現れない事です。
あるいは、「膝の運動をすると、膝や腰に痛みが出るから」と理由をつけて運動量を減らしたり、「変形性膝関節症は、年寄病だから、仕方が無い」と気力を失っていたり、形だけの運動になったりすると、膝に筋力がつかないので、やはり、改善効果が現れません。
~ 時間をやりくりしながら、気長に ~
この為、運動療法を継続するには、“時間のやりくり”をしながら、“気長にトレーニングを続けていく事”が大切です。
また、運動療法を行っても、筋力や痛みの回復効果が、すぐに現れないので、根気よく、目的意識を持って、繰り返し続ける事も必要です。
特に、肥満や加齢で脚の筋力が弱っていたり、膝の痛みで歩く事が少なくなっていたりすると、「運動療法でトレーニングをしても、なかなか効果が出ない」と諦めがちになるので、気持のゆとりを持ちながら、運動療法の期間と時間を十分とって繰り返す事が重要です。
~ 運動療法の意味を理解して ~
もう一つ、大事な事として、運動療法で効果を上げるには、運動療法の目的や意味を理解しておく事です。
運動療法は、膝周りの、いろいろな膝の筋肉の働きから、それらを、いくつかのパターンに分けて、「膝の動きをよくするトレーニング」、「膝の筋力を強化する訓練」などを行うので、それぞれの目的と、それに沿うトレーニングや訓練を行う事が必要になるからです。
この為、繰り返しで単調に感じられても、脚の運動療法の意味を確認しながら、毎日、「じっくり」、「ゆっくり」、「根気よく」、運動を続ける事が大切です。
【 当院の、膝関節の筋力回復と痛みの緩和治療 】
~ マッサージ治療にツボ治療を加えて ~
変形性膝関節症の運動療法は、“気長にトレーニングを続けていく事”が必要になるので、膝の筋力の回復を高めて、できるだけ早く痛みを解消させるには、腰から下の“筋肉の柔軟性回復”と、膝を動かす時の“痛みの緩和”、そして、足腰の“動きをスムーズ”にする事が重要になります。
更に、肥満や、O脚、膝の使い過ぎなどで、身体が動きづらくなっていたり、違和感や痛みが生じていたりする場合は、体調の改善も必要です。
この為、当院は、変形性膝関節症の改善を高める為に、東洋医療をベースにしたマッサージ治療にツボ治療を加えて、下半身の筋肉の緊張を和らげて血行を改善するだけでなく、敏感になっている神経を緩和させて痛みを和らげ、そして、体調の改善も行っています。
~ ツボの効果 ~
ツボ治療をマッサージ治療に加えているのは、ツボが、神経や血管が集まっている箇所なので、身体に不調が起きると、関係する特定のツボに痛みや硬さとなって、身体に異常が起きている箇所と悪化の状態を知らせてくれるからです。
しかも、反応が現れたツボに、症状や体調に合わせた刺激を与えると、神経や血管が集まっている箇所なので、その刺激に反応して筋肉内の血流が改善し、痛みや違和感を和らげる効果があります。
これらのツボの働きを利用して、膝周辺のツボに刺激を与えると、筋肉内の血流が活発化して、神経の興奮が抑制され、今まで感じていた違和感や痛みが和らいだり、膝が動かし易くなったりする効果があります。
~ 腰や股関節も ~
また、膝に痛みを感じていると、歩行時や、立ち上がりや座る動作、階段の上り下りなどで、バランスを崩した姿勢や、変則的な動きが多くなり、腰や股関節にも痛みや違和感が生じている事が多くなっています。
この為、腰や股関節のコワバリ箇所をチェックして、コワバリを解消して柔軟性の回復を行っています。
腰や股関節のコワバリ箇所や血行の悪化箇所を回復させると、脚と腰が動かし易くなるだけでなく、膝への負担が少なくなる効果もあります。
~ 体調や症状に合わせて ~
運動療法の大切さが分かっていても、痛みの不安や抵抗感などで、なかなか踏み込めなかったり、続かなかったりする場合には、東洋医療をベースにしたマッサージを利用すると、膝の運動療法が行い易くなります。
当院では、体調や症状に合わせて、東洋医療をベースにしたマッサージ治療にツボ治療を加えて、膝のコワバリの解消や血行を促進させ、神経の過敏状態を緩和し、痛みの改善と膝関節の可動域の改善を図っています。
マッサージの施術時間は、15分からです。 関連する痛みやしびれなどの症状の、ご相談は、[メール]、または[電話]で、お受けしています。