妊娠して数ヶ月すると、立とうとした時や歩いている時に、お尻からジンジンと疼くような痛みや、ビリッとしたシビレが起きたり、あるいは、ピリピリとしたシビレが起きて、その瞬間、脚を動かせなくなり、後にジーンとした痛みが残ったりする事があります。
これは、妊娠すると、体重が増したり、腰やお尻にウエイトをかけた姿勢になったり、骨盤の靭帯が緩んだりする為に、気付かないうちにお尻の筋肉が硬くコワバッタ状態になるので、動作時に、奥の坐骨神経を圧迫して、刺激した為です。
お腹が大きくなるにつれて、坐骨神経への圧迫が強まる事が予想されるので、お尻の筋肉の過緊張を緩めて不快な痛みやシビレを無くし、それと共に体調を整え、出産に向けて、身体の負担の少ないマタニティライフにする事が大切です。
【 坐骨神経痛 】
妊娠して5ヶ月目ぐらいから、あるいは早いと、妊娠一か月目あたりに、お尻の奥にニブイ痛みを感じるようになり、そして、何かの動作をした時に、突然ピリッ!と、お尻に痛みが起きる事があります。
よくあるのが、「立ち上がろうとした時に、ピリピリっとお尻が痛む」、「ソファに座っていると、尾底骨に疼くような痛みを感じる」、「寝起きに身体を起こすと、お尻の奥が痛みを感じる」、などです。
このような痛みが起きると、今迄無かった痛みなので、「身体に異常が起きたのでは?」と、思わず不安にかられてしまいます。
しかし、この痛みは、ほとんどの場合、病気というよりも、お尻の奥の坐骨神経が、周囲の筋肉の過緊張で圧迫されて、刺激された痛みです。
一般的に『坐骨神経痛』と呼ばれますが、病院の診断名では、お尻の奥の梨状筋(りじょうきん)と呼ばれる筋肉がコワバッテ、坐骨神経を圧迫し、痛みを起こしたので、『梨状筋症候群』と言います。
『梨状筋症候群』は、お尻の筋肉に負荷がかかり過ぎて、起きる痛みなので、妊婦さんのお尻の痛み以外にも、ランニングやサイクリングをして股関節に大きな負荷がかかった時や、デスクワークや運転などで長時間の座る事を強いられた時などに、起きる事があります。
妊婦さんの場合は、お腹が大きくなって、体重が増えてくると、お尻の筋肉に負荷が増したり、あるいは、お腹の大きい姿勢を維持する為に、自然と腰を反らして腰やお尻で体重を支えたりするので、それにより、お尻の奥の梨状筋がコワバッテ、内側の坐骨神経を圧迫し、刺激した為です。
また、お尻の坐骨神経の痛み以外にも、骨盤を支えている筋肉がコワバルと、骨盤のバランスが悪くなってくるので、鼠蹊部や恥骨が引っ張られて、太ももの付け根あたりの痛みに痛まされる妊婦さんもいます。
このような状態になると、下腹部に緊張が強まるので、お腹が張るような感覚が強くなったり、更に、お腹に疼くような痛みを感じたりする事があります。
【 お尻のコワバリ原因 】
本来、お尻の筋肉は、身体を支える“縁の下の力持ち”としての役割があるので、多少の負荷がかかっても、滅多に痛みを発する事はありません。
しかし、妊娠して、体重が増えて、身体のバランス状態が変わってくると、今迄無かったような大きな負荷が、お尻の筋肉にかかってくるので、“縁の下の力持ち”の許容限度を超えてしまい、お尻の筋肉がコワバッテ坐骨神経を圧迫し、痛みが生じてしまいます。
しかも、お腹が大きくなると、自然とお腹を前に出して、反った姿勢になるので、上半身のウエイトが、絶えずお尻の上に乗っかったようになるので、ますます、上半身のウエイトがお尻の筋肉に負荷がかかるようになってしまい、坐骨神経から痛みが起き易くなります。
また、出産に向けて、赤ちゃんが産道を通り易いように、リラキシンという女性ホルモンが増えてくる事も、お尻に痛みを起こす原因になります。
このホルモン量が多く分泌されると、骨盤を固定している靭帯が緩んでくるので、お尻の骨盤回りの筋肉に、骨盤を支える負荷が増すからです。
更に、骨盤を固定している靭帯が緩んでくると、骨盤の下側の、恥骨部分に大きな負荷がかかって、「起き上がったり、寝返りをしたりした時に、恥骨がズーンと痛くなる」、「立ち上がる時に、恥骨のあたりが“ピキーン”と痛みが走る」、などが起きる事もあります。
このような坐骨神経や骨盤からの痛みが起きる前に、「下半身が何となく、むくんだような、ボテッとした感じ」とか、「骨盤周りの重ダルサ」などに、気づく事もあります。
これは、お尻や腰の筋肉に負荷が続くと、筋肉内に疲労物質が溜まったり、必要な酸素が不足したりするので、疲労感や、ダルサ、むくみ感などが生じるからです。
そして更に、お尻や腰の筋肉の負荷が大きくなって、コワバッテくると、内側の坐骨神経が圧迫されて、ジンジン、チクチク、ビリビリ、とした痛みが起きるようになります。
【 お尻の痛み緩和 】
妊婦さんに『梨状筋症候群』が起き易くなると、毎日の姿勢や動作に関連して起きるので、「脚が引きつって、動かせなくなる」、「シビレと痛みで、座っていられない」、「寝ていて、お尻に体重をかけられなくなる」などのように、生活に支障をきたしてしまいます。
しかも、以前、ギックリ腰の経験がある妊婦さんは、身体に疲労や緊張が溜まっていると、お尻の痛みから腰の神経が敏感に反応して、ギックリ腰を誘発する危険性があります。
この為、痛みが起きると痛み止めの薬を使いたくなりますが、胎児や母体への影響を考えると使えないので、我慢せざるを得なくなります。
このような『梨状筋症候群』を予防したり緩和させたりする為に、塗薬や湿布薬の使用や、原因となっている梨状筋を伸ばす為のストレッチなどが、勧められています。
しかし、お尻の筋肉の過度な疲労や緊張による坐骨神経の痛みなので、自分で、起きてしまった痛みを緩和させたり、事前に痛みを予防したりする事は困難です。
しかも、運動やストレッチで、筋肉の柔軟性を回復させようとしても、妊娠中は、お腹が大きくなって、腰や脚を動かせる範囲が限られるので、痛みを解消させるのが、ますます困難になります。
また、お尻の筋肉への負荷を減らす為に、骨盤ベルトの着用があります。
骨盤ベルトで骨盤を支えると、腰まわりの筋肉への負荷が軽くなり、腰痛の予防改善効果が期待できるからです。
しかし、毎日の家事や仕事の為に、腰やお尻に負荷がかかり続ける妊婦さんや、お尻の奥の筋肉のコワバリが解消できなくなっていたり、お尻の坐骨神経が過敏になっていたりすると、回復力が追い付かなくなるので、改善効果が期待できなくなります。
【 当院の、妊婦さんのマッサージ治療 】
このような、妊娠中の解消しづらいお尻の痛みの対策として、昔から利用されている、妊婦さん用のマッサージ治療があります。
もともとマッサージが、「血液やリンパ液の流れを良くする」、「筋肉の弾力性や柔軟性を高める」、「神経の興奮を抑制する」などの効果があるので、妊婦さん用に施術の仕方を工夫して『妊婦さん用のマッサージ治療』として、妊娠中の身体のコンディション調整を行ってきたからです。
妊婦さんのお尻の痛みにも、妊婦さん用のマッサージ治療で、腰やお尻のコワバリと血行の悪化を回復させると、マッサージ効果によって、「腰の痛みや重だるさが軽減された」と言う人がいるくらい、体調の回復に効果があります。
このような効果から、当院も、東洋医療をベースにしたマッサージ治療によって、妊娠中のお尻の痛みの軽減や、妊娠中の身体のコンディション調整を行っています。
当院の妊婦さん用のマッサージ治療は、妊婦さんのお腹が圧迫されないようにする為と、妊婦さんが楽に呼吸もできる為に、“横臥位(おうがい)”と言われる、横向きに寝てもらい、マッサージを行っています。
この姿勢で、着衣の上から、疲労や緊張で反応が現れたツボに、適切な刺激を与えていくと、その刺激に反応して、腰やお尻のコワバリが解消され、それと共に、筋肉内の血流が改善されてくるので、腰やお尻の重ダルサや疲労感が減少し、お尻や太ももの痛みや違和感が無くなっていきます。
更に、当院では、痛みを軽減させる治療だけでなく、ツボ反応で身体の疲労箇所や緊張箇所を確認し、筋肉の弾力性や柔軟性の回復や、血行やリンパの流れの改善を行い、体調の回復を行っています。
妊娠中は、体重が増えたり、姿勢を保つバランスが変わったりして、動作が不自由になるので、疲労や緊張などの慢性化による筋肉由来の痛みが起きたり、身体のバランスが崩れて、「何となく身体の調子が悪い」といった不調が起きたりするからです。
マッサージ治療で身体の筋肉の緊張を緩めていくと、血行が改善されるだけでなく、妊娠による体重の負荷がバランス良く吸収されるようになるので、身体の痛みや違和感が緩和され、体調も良くなるので、身体全体のリラックス効果も期待できます。
妊娠中にマッサージを受ける場合は、安心してマッサージが受けられる事が必要なので、信頼できるマッサージ専門の治療院を選ぶ事と、『妊婦さん用のマッサージ治療』を行っているかを、事前に確認する事が大切です。
当院は、マッサージの国家資格を持ち、昔から利用されている東洋医療をベースにして、妊婦さんの身体の状態や症状に合わせて、妊娠中のお尻の痛みの軽減や、妊娠中の身体のコンディション調整を行っています。
マッサージの施術時間は、15分からです。 関連する痛み・しびれなどの症状のご相談は、[メール]、または[電話]で、お受けしています。