デスクワークの疲労原因として、「姿勢を維持する筋肉の疲労」、「動かない事による血行低下」、「緊張や意識集中などによる自律神経の負荷の増大」、などが指摘されていますが、「肩甲骨の位置ズレによる、こり」も、大きな原因になっています。
前かがみ姿勢や、肩を前方に出す『巻き肩』などで、肩甲骨が肩方向に上がり、デスクワークを続けるうちに肩や背中の筋肉がコワバルと、肩甲骨に付着している筋肉が肩方向に引っ張られたままになるので、血行を悪化させるからです。
この結果、背中に、重ダルイ疲労感やズキズキとした痛みが起きるので、これらを解消するには、背中の疲労箇所やコワバリ箇所を回復させるだけでなく、肩甲骨の位置ズレを解消し、肩甲骨周りの筋肉の緊張を緩める事が重要です。
【 肩甲骨の内側の痛み、背中のむくみ、ゴリゴリ音 】
一日中パソコンの前で仕事をしていて疲れてくると、首や肩の凝りだけでなく、肩甲骨の内側に、ズキズキとした痛みや、チクチクと刺すような痛み、が起きてきます。
これは、前かがみ姿勢になって、両肩を前方に突き出すような『巻き肩』姿勢が続くと、肩甲骨が肩方向に引っ張られて“上がりっぱなしの状態”になるので、肩甲骨と背骨の間に、筋肉の緊張と負荷が大きくなるからです。
しかも、肩甲骨には、いろいろな背中の筋肉が付着しているので、肩甲骨が肩方向にズレタまま凝り固まってしまうと、いろいろな背中の筋肉を引っ張って、背中の血行やリンパ液の流れを悪化させてしまい、背中に痛みや不快感を起こします。
更に、背中の血行やリンパ液の流れの悪化で、血液やリンパ液が停滞すると、背中に老廃物を多く含んだ余分な水分が溜まって“むくみ”が生じるので、背中に腫れぼったさを感じるようになります。
しかも、この状態が何日も続くと、“むくみ”によって毛細血管が圧迫されるので、ますます血液やリンパ液の流れが停滞し、これにより、背中の“腫れぼったさ”や“熱っぽさ”、あるいは、“重たい”感じが強まって、絶えず背中が、スッキリしない感じに悩まされます。
しかも、「背中がブヨッと、たるんだ感じ」や、「背中が疲れ易くなって、モッサリとした感じ」などがするので、立っている時も、背中が丸まった猫背姿勢が気になるようになります。
他にも、肩や腕を大きく動かしたり、廻したりすると、肩甲骨の裏から、骨がこすれるようなゴリゴリ音がしてくる事があります。
肩甲骨周囲の筋肉が凝り固まると、肩甲骨の下側の筋肉が、肋骨(あばら骨)に沿って、デコボコ状になった為です。
この為、肩や腕を大きく動かしたり、廻したりすると、それにつれて肩甲骨が動く時に、肩甲骨の下のデコボコ状に凝り固まった筋肉が、肋骨と擦れ合ってゴリゴリ音が出るようになります。
【 見返り美人図 】
肩甲骨は、肋骨の上に、乗っかったような状態になっているので、上下左右、かなり広い範囲に移動できる特徴があります。
この為、腕をいろいろな方向に動かせるように、肩関節の動きを補助するだけでなく、身体を動かす時には、肩甲骨が身体の動きを邪魔しないような動きをスムーズにしているので、身体を、滑らかに、柔らかく、そして、かなり自由に動かす事ができます。
これを上手く現したのが、江戸時代に描かれた『見返り美人図』で、身体は前を向いたまま、背部の肩甲骨を後ろに引いて、首だけを振り向いた女性を描く事によって、女性らしい動作と、優雅な雰囲気を表現しています。
ところが、年齢的に25歳を過ぎると、肩甲骨付近の筋肉の老化が始まって、肩甲骨付近の筋肉の柔軟性が失われ、固くなっていきます。
しかも、現代の生活は、昔と違って、身体を動かす事が少なくなって、イスに座って操作をする事が多くなったので、余計に、肩甲骨付近の筋肉の柔軟性や筋力が失われ易くなっています。
この為、三十歳あたりになると、肩甲骨付近の筋肉の柔らかさが無くなってくるので、『見返り美人図』のような恰好をすると、何気なく、ふっと振り返るような姿勢ができずに、無理に身体をひねったような、ぎこちない恰好になってしまいます。
それでも、日常生活では、『見返り美人図』のような動作をする必要が無いので、肩甲骨の動きが悪くなっていても、支障を感じません。
しかし、デスクワークなどで、肩甲骨まわりの筋肉が固くなり過ぎて、筋肉が凝り固まった状態になると、「肩こり」や、「背中に強く疲れを感じる」、「腰痛が起き易い」などに、慢性的に悩まされるようになります。
更に、背骨沿いに自律神経が通過しているので、肩甲骨の内側の筋肉のコワバリによって、自律神経が圧迫されてくると、「胸苦しさや圧迫感」、「胃もたれや食欲不振」、「身体の不調感」、なども起きてきます。
【 肩甲骨はがし 】
このような肩甲骨周囲の凝りや痛みの解消には、動きの悪くなっている肩甲骨の動きを改善し、周囲の血液やリンパ液の流れを回復させる事が必要です。
しかし、肩甲骨が背部にあるので、自分で肩甲骨を確かめる事ができなかったり、あるいは、肩甲骨を動かしているつもりでも、肩だけ廻して、肩甲骨はあまり動かす事ができなかったりします。
また、背中を構成している筋肉は、互いに関係しながら、何層も重なり合っているので、背中の凝りや痛みを解消させるには、背中を構成している筋肉の位置や、動作の時に関連する筋肉を考えて、凝りや痛みを起こしている個所をチェックした上で、関係する筋肉を含めて回復させる事が必要です。
この為、手間がかからず、確実で、効果的なのが、専門家によって肩甲骨の動きを回復させる方法(他動運動)です。
通称、『肩甲骨はがし』と呼ばれる手法です。
『肩甲骨はがし』と聞くと、言葉は強烈ですが、実際に行っているのは、専門家が肩甲骨周りの筋肉のコワバリやシコリを“確認”した上で、肩甲骨まわりの筋肉を動かしながら“ほぐす”方法です。
この『肩甲骨はがし』は、肩甲骨周辺の凝り固まった筋肉を、動かしながら“ほぐす”ので、血行やリンパ液の流れの改善効果が、高くなります。
また、血行やリンパ液の流れが改善されると、背中の“むくみ”も解消されるので、腫れぼったい不快感や疲労感が無くなって、背中がスッキリします。
しかも、背中の最もコワバリ易い部分が解消されるので、丸まった背中が伸びるようになるだけでなく、浅くなっていた呼吸が回復するので、体調の改善にもなります。
【 当院の、背中の回復治療 】
当院では、肩や背中の体調改善を行う場合、最初にマッサージ治療で背中と腰の筋肉のコワバリを解消させ、その後に『肩甲骨はがし』で肩甲骨を回したり動かしたりして、背中の筋肉の回復治療を行っています。
これは、マッサージの作用として、「血行やリンパの流れを良くする」、「筋肉の弾力性や柔軟性を高める」、「それらによって神経の興奮を鎮める」などがあるので、肩甲骨周囲の筋肉が凝り固まっていても、マッサージ治療によって、①肩甲骨周囲の筋肉の疲労や緊張の回復、②肩甲骨の可動域の復元、③痛みの改善、などの効果が期待できるからです。
この為、最初にマッサージ治療で、肩甲骨周囲の筋肉の柔軟性を回復させておくと、無理無く、肩甲骨が動かせる状態になり、その後、『肩甲骨はがし』をすると、肩甲骨周囲の筋肉バランスが回復して、肩方向に吊りあがっていた肩甲骨が本来の位置に戻るようになります。
また、当院は、凝り固まった背中の筋肉をほぐす為に、反応が顕在化したツボを利用して、筋肉のシコリやコワバリを緩め、血行やリンパ液の流れを促進させています。
ツボが神経や血管が集まっている箇所なので、身体に不調が生じると、痛みや硬さとなって、身体の異常を知らせる反応点になったり、刺激を与える事によって、症状を改善する治療点になったりするからです。
この為、反応が顕在化したツボに刺激を与えると、その刺激に順応して、滞っていた肩甲骨周辺の血行やリンパの流れが回復し、筋肉のコワバリが緩んでくるので、奥からジンワリとほぐれる感触がすると共に、重ダルサや疲労感が消えていきます。
更に、背中に腫れぼったく感じさせている、老廃物が多く溜まった余分な水分の“むくみ”の解消を、併せて行っています。
昔から、東洋医療をベースにしたマッサージ治療が、筋肉内の血行改善を行っているので、背中の疲労や緊張による“むくみ”の解消にも、適しているからです。
背中の血行やリンパの流れを活発化させて、元の状態に回復させると、“むくみ”によって引き起こされた不快感が解消されていき、上半身がスッキリとした感じになるので、「元気が出ない」、「食欲がない」、「イライラする」なども解消されていきます。
肩甲骨は、身体全体の動きに関わっているので、肩甲骨周囲の筋肉が凝り固まってくると、「背中を伸ばすと痛い」、「後ろに振り向くと痛い」、「背中がピキッとする」などの痛みや不快感が生じるだけでなく、身体全体の動きが鈍くなります。
当院は、慢性化した背中の疲労や緊張の解消に、①肩甲骨の位置ズレ解消、②ツボ刺激、③マッサージ治療、などを行い、体調の回復を行っています。
マッサージの施術時間は、15分からです。 関連するこり・しこりなどの症状の、ご相談は、[メール]、または[電話]で、お受けしています。